寒冷な地域では夜露や雪、雨などの水分が屋根材や外壁材に染み込み、それが凍ることによって凍害が引き起こされることがあります。
温暖な地域に住んでいる方は想像しにくいでしょうが、屋根材や外壁材を剥離させたり、割ってしまったりするのです。
ご存知の通り、どんな物質であっても温度や状態によって体積が変化します。さまざまな物質がある中でも水は異色の存在で、液体(水)よりも固体(氷)の方が体積は大きくなるのです。固体よりも液体の方が密度は高くなるのです。
簡単にいうと、水が氷になると体積が約1割増えます。
液体や気体の場合、体積が増えても流動性があるので隙間があればそちらへ逃げていきますが、個体はその場で大きくなりますから、建材にかかる負担も大きくなります。
雨、夜露、雪解け水がひび割れや
クラックなどに染み込む
気温が下がって水分が凍ると膨張し、
ひび割れやクラックを押し広げる
ひび割れやクラックは膨張によって押し
広げられるので、より大きなものとなる
大きなひび割れやクラックになったこと
により、より水分が染み込みやすくなり
最終的には膨張に耐えられなくなり、
剥離したり、割れてしまう。
表面に釉薬が施され、陶器と同じ性質を持つ釉薬瓦にも水が染み込む可能性があることをご存知でしょうか。釉薬瓦に施されている釉薬は表面だけであって、裏面には塗られていません。スレート(コロニアル・カラーベスト)も同様に水が染み込む可能性があります。水が染み込むというと古くなって防水性が落ちたものだけだと思われがちですが、実は新しくてもその可能性があるのです。現在、外壁の主流となっている窯業系のサイディングでも同様に水が染み込む可能性があります。
釉薬瓦 12%以下
いぶし瓦 15%以下
無釉瓦で12%以下
スレート
13.7%(メーカー公表値)
金属屋根材
(ガルバリウム鋼板)0%
窯業系サイディング
20~50%
※画像は街の屋根やさん千葉を引用
水面下約10cmまで建材を沈めて吸水率を計測するという通常の使用環境とは異なる方法ですが最悪の場合、これだけ吸水してしまうということです。吸水率が高ければ高いほど、水が染み込みやすいということですから、それだけ凍害も起こりやすくなります。
豪雪地帯に金属屋根が多いのは凍害を避けるためです。同じ豪雪地帯でも北陸地方になると瓦屋根が多く見られますが、こちらは石州瓦という吸水率が低くく(5%前後)、凍害が起こりにくいものが使われています。
水分を含んだ建材が凍ることによって凍害は発生します。これを防ぐためには極力、水分を含ませないことです。
ひび割れやクラックなどがある場合は補修して、埋めてしまう必要があります。
ひび割れやクラックは大きさや深さなどによって補修方法が異なりますから、専門業者に頼んだ方が無難です。
目地のコーキングが傷んでいるようでしたら、打ち替えが必要です。屋根葺き替えをするのだったら、金属などの吸水率が低い屋根材にしてしまうことも考えましょう。外壁の張替えリフォームをお考えでしたら、金属サイディングを検討してみてください。
大きさによってはVカットして埋めるなど補修が必要です。0.3mm未満であれば、弾性塗料を使った塗装で仕上げましょう。
釘穴からも水分が浸透していきます。コーキング材などで釘の頭を隠してから、塗装で仕上げます。
チョーキングなどが発生している場合は全体的に防水性が落ちています。屋根塗装や外壁塗装を行って防水性を回復させましょう。
ガルバリウムなどの金属屋根なら吸水率はゼロなので、凍害が起こる心配はありません。新しい瓦に交換するという場合は凍害に強い瓦を選びましょう。
ガルバリウムなどの金属屋根なら吸水率はゼロなので、凍害が起こる心配はありません。新しい瓦に交換するという場合は凍害に強い瓦を選びましょう。
建材が水分を吸収するということは凍らなくても劣化を早めます。水分を吸収すればその分、体積は増えます。そして乾燥する時に体積が戻ります。このような状態変化を湿乾伸縮といいます。湿乾伸縮を繰り返すと、表面の塗膜が割れたり、建材そのものが変形したり、割れたりします。凍害のように一冬で割れたりすることはないのですが、何回も繰り返しているうちに必ず悪影響が表れますので、防水性については常に気にかけてあげてください。